糖尿病網膜症について
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糖尿病網膜症について
糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症一つです。初期の段階では自覚症状が認められていないことがほとんどですが、眼の中で病気はどんどん進行しており、放っておくと失明に至ることもあります。しかし、早期に病気を発見し、治療をすれば大事に至ることは少なくなりました。
このためには眼科を定期的に受診して検査を受けることがとても大切です。過去に眼科を受診して問題がなかったとしても、定期的に検査をしなければ、自覚症状がなく進行する病気を見つけることはできないのです。
◆ どうして糖尿病で眼に病気が起きるの?
眼の一番奥、眼底には網膜という神経の膜があり、多くの毛細血管があります。糖尿病の患者様の血液は、糖が多く固まりやすい状態になっているため、網膜の毛細血管を詰まらせたり、血管の壁に負担をかけて、眼底出血をしたりします。そのため血液の流れが悪くなり、網膜に酸素や栄養素が不足し、これが糖尿病網膜症の原因となります。進行した場合には、硝子体で大出血が起こり、失明に至る場合もあります。
障害された血管と糖尿病網膜症
毛細血管瘤とは、毛細血管にできた小さなこぶのようなふくらみのことです。破裂すると、出血してしまいます。糖尿病の合併症である、糖尿病網膜症の眼底変化として、最初にこの毛細血管瘤がでてきます。
◆ 糖尿病による眼の病気の進み方
自覚症状があらわれるのは、病気の最終段階です。しかし、それまでに眼の中ではどんどん病気が進行しています。
糖尿病網膜症は、進行度によって、単純網膜症、増殖前網膜症、増殖網膜症の3段階に分けられ、かなり進行するまで自覚症状がほとんどありません。見え方に異常を感じるようであれば、かなり進行している可能性もあり、治療を開始しても回復が難しくなることがありますので、一度の検査で「異常がない」と言われても定期的な眼科受診で症状があらわれる前に眼の病気を見つけことが重要です。
糖尿病網膜症の治療方法は進歩しており、早期に発見されれば、失明が予防できるようになってきています。
◆ もう一つの眼の病気「糖尿病黄斑浮腫」
糖尿病網膜症と診断された方は出血等による失明以外に黄斑浮腫にも注意が必要です。
網膜には、ものの見え方をつかさどる黄斑部があります。糖尿病黄斑浮腫は糖尿病網膜症の合併症としてこの「黄斑」という部分が腫れる病気です。
黄斑に異常が発生すると、たとえ、網膜症の初期の段階でも、視力障害が起こります。もし、普段の生活で見え方に異常を感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。
黄斑部に異常が発生した場合の主な見え方
◆ 糖尿病網膜症になると失明するのですか?
糖尿病網膜症になったからといって、すぐに失明するわけではありません。
糖尿病網膜症は、網膜の状態などから進行の段階が3つに分かれます。単純網膜症から増殖前網膜症の段階ではほとんど自覚症状はないため、初期の段階で患者様自身が眼の異常に気がつくことは困難です。このため、眼科で定期的な検査を受けることが大切です。
◆ 糖尿病網膜症で失明する人って、どれくらいいるのですか?
糖尿病網膜症で視覚障害者になる人は、年間3000人にのぼるといわれています。日本国内で、失明を含めた視覚障害の原因として2番目に多いのは、糖尿病網膜症です。
生まれたときや小さいときに失明してしまった人は、視覚以外の情報を活用して生活する方法を身につけています。しかし糖尿病網膜症のように人生の途中で失明してしまう中途失明は、肉体的にも精神的にも状況を受け入れることが難しく、日常生活の質が極端に損なわれることになります。
◆ 糖尿病網膜症の治療には、どのようなものがありますか?
以下のような治療があります。
●血糖コントロール
単純網膜症では、血糖コントロールによって、眼底出血が改善することもあります。また、他の治療の効果を十分なものにするためにも、血糖コントロールが不可欠です。
●レーザー光凝固術
・外来通院で治療可能です。
・点眼麻酔をして、1回15分~30分程度の時間で終了します。
・進行段階によって、数回に分けて治療します。
●硝子体手術
眼球内の圧力を保つために灌流液を注ぎながら、吸引カッターで硝子体内の出血を吸い取ったり、剥がれた網膜を元に戻したりします。眼内は暗いので、照明ファイバーで照らしながら手術します。
◆ 糖尿病網膜症で失明しないためには、どうしたらいいのでしょうか?
(1) 血糖コントロールをつづけましよう。
治療の基本です。
(2) 糖尿病といわれたら、必ず眼科で検査を受けてください。
自覚症状では眼の状態はわかりません。
眼科では血管の状態を詳しくみるための精密眼底検査を行っています。
(3) 定期的に眼科の検査を受けましょう。
定期的な検査を受けることによって、適切な時期に適切な治療を受けることができます。
(4) 眼科で行った検査結果は、糖尿病眼手帳などに記録してもちいましょう。
自分の眼の状態をしっかり把握することができます。