近視(近視治療)

近視は治らない!?近視とは

近視とは、光が目に入ったときに、網膜の前方で像を結ぶ、あるいは眼前有限距離にある点から発散される光が網膜上で像を結ぶ状態を指します。
近視の分類

① 弱度近視     :-0.500D以上-3.000未満の近視
② 中等度近視 :-3.000D以上-6.000D未満の近視
③ 強度近視    :-6.000D以上の近視

増え続けている近視人口

近年、世界的に近視人口が増えています。日本を含めた東アジアは特にその傾向が顕著です。
たとえば中国の10代および若年成人のうち約90%が近視であり、これは50年前の4倍以上となります。また、発症の低年齢化も進んでいます。発症年齢が低いほど近視は進行しやすいため、将来的な強度近視患者の増加、および近視性黄斑変性症患者の増加が危惧されています。

子供の近視について

1979年~2017年にかけて裸眼視力0.3未満の子どもの割合を調べた統計を見ると、以下の表のようなはっきりとした変化が確認されます。
38年間で小学生は約3倍、中学生は約2倍、高校生は約1.25倍の増加率となっています。

1979年 1987年 1997年 2007年 2017年
小学生 2.7% 4.0% 6.0% 6.5% 8.7%
中学生 13.1% 15.2% 21.7% 20.3% 26.5%
高校生 26.3% 27.3% 34.2% 26.1% 33.9%

学校健診での視力検査について

現在、ほとんどの学校において、健診時の視力検査では、「370(サンナナマル)方式」がとられています。これは、視力0.3、0.7、1.0の視標(視標:ランドルト環など)のみを用いて表示・区分する方法です。(以前は、0.1刻みの判定が行われていました) 検査結果は、この3つの視標をもとに、次のようにA~Dで表示・区分されます。教室での見え方の目安と一緒に、ご覧ください。

表示 区分 教室の見え方の目安
A 1.0以上 一番後ろの席からでも、黒板の文字がはっきり見える。
B 0.9~0.7 後ろの方の席でも、黒板の文字が読める。ただ、近視が始まっていることも多い。受診が推奨される。
C 0.6~0.3 後ろの方の席では、黒板の文字が見えにくい。近視だけでなく、近視以外の眼の病気にも注意が必要。受診が必要。
D 0.3未満 前の方の咳でも、黒板の文字の見え方がよくない。すぐに受診が必要。

またこのA~Dは、次のような基準によって判定されます。

使用する視標 判定の可否 判定結果 次の手順 備考
視力の判定 0.3 判定できない(※1) D 修了 C、Dの場合は
眼科専門医の受診を推奨
正しく判別できる(※2) 0.7にて検査
0.7 判別できない C 終了
正しく判別できる 1.0にて検査 Bとなった幼稚園年中・年少児を
除く児童・生徒には受診を推奨
1.0 判別できない B
正しく判別できない A 受診の推奨は不要

※1)判別できない:上下左右のうち2方向以下しか判別できない場合
※2)正しく判別できる:上下左右のうち3方向以上を判別した場合

正視化現象について

生まれたばかりの赤ちゃんは、軽度の遠視です。その後、徐々に遠視が軽減し、小学校に入るころにようやく正視となります。正視とは、近視でも遠視でもなく、ピントが網膜にちゃんと合っている状態のことです。 このように、赤ちゃんから学童期にかけて、遠視から正視へと移行する現象を「正視化現象」と言います。 正視化現象は、「角膜屈折値」、「水晶体屈折値」、「眼軸長」の変化・安定化によって起こる現象です。

正視化現状

角膜屈折値

角膜の光の屈折の程度を値にしたものです。 年齢とともに角膜屈折値が低下していき、2~3歳(24~36ヵ月)くらいでほとんど変化がなくなります。

水晶体屈折値

水晶体の光の屈折の程度を値にしたものです。 生後急激に、その後もなだらかに水晶体屈折値が低下していき、6~10歳くらいでほとんど変化がなくなります。

眼軸長
東京都内の小中学生の眼軸長と強度近視(眼軸長26mm以上)の割合

角膜から網膜までの長さのことです。眼軸長が長すぎると、網膜の手前でピントが合い、近視になります。生後急激に、その後もなだらかに眼軸長が延びていき、10歳くらいでほとんど変化がなくなります。なお平均の眼軸長は約24mmです。

いつから近視ってはじまるの?
視力の成長について

こどもの視力の発達

子どもの視力は、おおよそ以下のように変化していきます。

月齢・年齢 生後すぐ 3ヵ月 6ヶ月 1歳 3歳 4歳 5歳 6歳
視力 ほとんど見えない 0.02~0.03 0.04~0.08 0.2前後 0.7~1.0 1.0(71%) 1.0(83%) 1.0~1.2

子どもの視覚の感受性期について

ヒトの視覚の感受性期

生後、鮮明な映像を繰り返し目で見ることにより、脳内で映像を認識する機能が発達します。この期間のことを、「視覚の感受性期」と呼びます。 子どもの視覚の感受性は、生後すぐから上昇し、1歳半ごろにピークを迎えます。 そしてその後徐々に低下していき、8歳頃にはその発達を終えます。

近視の原因は?発症の時期は?
進行速度は?

近視の発症は、遺伝的要因、環境要因が関係していると考えられています。

遺伝的要因

両親ともに近視でない場合の発症率を1とすると、両親のどちらか片方が近視である場合の発症率は2倍に、両親ともに近視である場合の発症率は5.7倍にものぼります。

環境要因

外で活動する・遊ぶ機会が少ないと、必然的に近い距離を見ることが多くなります。長時間、近い距離でピントを合わせていることで、ピントを合わせる筋肉が緊張したまま凝り固まり、水晶体が膨らんだまま元に戻りにくくなることがあります。眼軸長が長くなり、近視が進行すると言われています。特に2000年代以降は、パソコン、スマートフォン、タブレットの普及によって、子供を含め多くの人が、近い距離で長時間ものを見る時間が長くなっています。

スマートフォンの普及でさらに近視の方が増えている

スマートフォンの普及でさらに近視の方が増えているスマートフォンは、モニターが小さく手で持って視聴することが多いため、どうしても近い距離にピントを合わせることになってしまい、近視の進行の重大なリスクと言えます。最近では、大人だけでなく、小学生くらいのお子様でもスマートフォンを持つようになりました。また、持たせてはいなくても、動画などを長い時間、近い距離で見せているというご家庭も少なくありません。こうしたスマートフォンの普及により、近視の方が増えています。また、タブレットや携帯ゲームでも同様の影響が懸念されます。いずれも便利で楽しいコンテンツではありますが、今一度、その使い方を見直しましょう。

発症の時期
近視の発症は4歳頃から見られます。そして、7~8歳ころから発症率が急激に高まります。

進行速度

近視は、早期に発症するほど、その進行が早く、将来的に高度近視となる可能性が高くなります。

病的なリスクが高い近視とは ?
矯正しても視力が維持できない視機能障害を伴い、ときに失明の原因となる近視のことを「病的近視」と言います。 高度近視になると、「病的近視」までに至るリスクが高くなります。 加えて、子どものうちに高度近視に至ることで、大人になってからも眼軸長が伸び続け、病的近視となるリスクがさらに高くなると言われています。


病的近視の定義

「カテゴリー2以上の近視性網膜絡萎縮病変もしくは、独立病変を認めるもの眼」

pathologic myopia(病的近視)が疑われるデータ
年齢 等価球面値
5歳以下 -4.00D以上
6~8歳 -6.00D以上
9歳以上 -8.00D以上

年齢 眼軸長
6~8歳 24.5mm以上
9~12歳 26.0mm以上
13歳以上 26.5mm以上

眼軸長と脈絡膜厚

子どもの他覚的・自覚的屈折検査度数は変動が大きいため、近視の進行の詳細を把握することが難しいという現状があります。近視は、眼軸長が長くなるほど進行します。そのため、眼軸長が伸びすぎないようにすることが大切になります。子どもの場合、身体の成長に合わせて眼軸長も長くなりやすいため、身長と近視の進行のあいだには一定程度の相関関係があると言われています。

近視の検査と診断基準

水晶体や角膜の屈折力、眼軸長、角膜形状などを調べる検査を行い、診断します。 屈折度の単位(D:ジオプトリー)を用い、-3.00D以下が弱度近視、-3.00Dを超えて-6.00以下が中等度近視、-6.00Dを超えると強度近視となります。 また、視力検査を行い、裸眼のままの視力、眼鏡・コンタクトで矯正した視力を測定します。

近視の早期発見・進行抑制のための光干渉式眼軸長測定装置

近視の早期発見・進行抑制のための光干渉式眼軸長測定装置光干渉技術を用い、高精度の測定が可能になった光干渉式眼軸長測定装置(AL-Scan)を導入しております。
近視を早期に発見し、その進行の抑制へとつなげます。

近視の治療

眼鏡やコンタクトレンズによる矯正に加え、オルソケラトロジーや低濃度アトロピン点眼を導入しています。

※表をスクロールしてご覧いただけます。

メリット

デメリット
眼鏡

・合併症のリスクがない

・扱いが簡単

・着脱が煩わしい

・フレームが視界に入る

・スポーツに不向き

コンタクトレンズ ・視界が良好 ・ドライアイ、アレルギー、感染症などの合併症のリスクがある
オルソケラトロジー

・視界が良好

・日中を裸眼で過ごせる

・近視抑制効果が期待できる

・ドライアイ、アレルギー、感染症などの合併症のリスクがある

・対象が軽度~中等度までの近視に限られる

低濃度アトロピン点眼

・近視抑制効果が期待できる

・副作用がほとんどない

・対象が軽度〜中等度の近視の6~12歳に限られる

眼鏡

眼鏡眼鏡は着脱や取り扱いが簡単です。また合併症の心配もありません。
かけ外しによって近視が進行するということも基本的にありませんので、見えにくいとだけかける、という使い方もできます。定期的に検査を受け、ご自身に合った眼鏡を装用することが、近視の進行を防ぐことになります。

コンタクトレンズ

コンタクトレンズ慣れるまでに時間がかかることがありますが、その後は快適性の高い装用が可能です。ただし、正しく扱わなければ、角膜を傷つけることがあるため注意が必要です。

オルソケラトロジー

就寝中に特殊なデザインのコンタクトレンズを装用することで、角膜の形状を矯正し、日中を裸眼で過ごすことのできる治療です。また、正しく使用することで、近視の抑制が期待できます。ただし、対象は軽度~中等度までの近視に限られます。強度近視や乱視、遠視を矯正することはできません。

オルソケラトロジーのメカニズム

オルソケラトロジーレンズを装用すると、角膜中央がフラットに矯正されます。近視を軽減しつつ、周辺部角膜のカーブが急激になるため、屈折力が増し、眼鏡や通常のコンタクトレンズで発生するデフォーカス(網膜後方にピントが合ってしまうこと)も抑えられるものとされています。オルソケラトロジーの治療開始直後、この矯正効果が持続するのは短時間です。しかしオルソケラトロジーレンズの装用を続けていくことで、平均して1~2カ月後には、良好な裸眼視力が得られ、日中を眼鏡やコンタクトレンズなしで過ごすことができるようになります。

低濃度アトロピン点眼

毎日、就寝前に低濃度アトロピン点眼(0.01%)を1滴点眼することで、近視の進行の抑制が期待できる治療です。シンガポール国立眼科センターの研究によって開発された治療であり、副作用のほとんどないという特徴を持ちます。対象となるのは、軽度〜中等度の近視の6~12歳のお子様です。

※十分な効果が得られなかった場合には、0.025%のアトロピン点眼もご用意しております。

点眼開始から効果期間
Myopine(マイオピン)の特徴
Myopine(マイオピン)は日本で既に商標登録済みであります
数多くの研究から、0.01%および0.025%のアトロピン点眼は、副作用が少なく、近視の進行を抑制することが分かっています。
  • 副作用がほとんどない
  • 1日1回、就寝前に1滴を点眼するのみの負担の少ない治療
  • 近視の進行を平均して50~60%抑制することが可能
  • 光の眩しさへの影響が抑えられる、サングラスが必要になることが少ない
  • 手元の作業、近くを見る視力への影響がほとんどない
  • 眼鏡をする必要もほとんどない
  • 点眼薬1本(5ml)を1カ月で使い切る(両目)
  • GMP(Good Manufacturing Practice)に準拠した工場で生産
Myopine(マイオピン)の費用の目安

Myopine(マイオピン)点眼の費用はすべて自費診療となり、1本3,000円程度です。

その他、屋外活動も効果的なの?


近視の子どもが増えている原因として「外遊びをしなくなった」ことが挙げられます。
この因果関係についてはいくつもの研究がなされており、実際に外遊び(屋外活動)の時間が長くとることが子どもの近視の抑制に有効であると考えられています。
台湾の事例

週あたりの屋外活動120分を義務化したところ、近視の有病率は翌年にピークを迎え、その後継続的に低下するという結果となりました。
なおこの効果は、屋外活動によって網膜内の光誘導性ドーパミンの放出が促進されることで、眼軸長の伸びが抑制されることによるものだと考えられています(光・ドーパミン仮説)。

低濃度アトロピン点眼とオルソケラトロジー
併用療法も効果的?

低濃度アトロピン点眼とオルソケラトロジーは、どちらも近視の進行を抑制する治療です。
この2つは異なるアプローチによって近視の進行の抑制を実現するものであり、併用することにより、より高い効果が得られることが期待できます。また実際に、併用することで眼軸長の伸びが縮小あるいは停止したというケースも見られます。
アトロピン点眼によって瞳孔の径が拡張し光学的メリットが大きくなる可能性があること、脈絡膜の肥厚による眼軸長の伸びの抑制効果なども指摘されています。

近視の予防

スマートフォン・タブレット・本などとの距離を
30センチ以上とる

スマートフォン・タブレット・本などとの距離を30センチ以上とる近視は、近い距離に長い時間ピントを合わせていることで進行すると言われています。そのため、モニターや本を見るときには、30センチ以上の距離を保つようにしてください。またその場合も、30分か1時間に一度は休憩し、目を休めてください。遠くの景色を眺めるとよいでしょう。

適度な明るさを維持する

適度な明るさを維持する暗いところでものを見ようとすると、どうしても距離が近くなってしまいます。本を読んだりモニターを見たりするときには、300ルクス以上の明るさが必要です。学校の教室はJIS規格によって300ルクス以上であることが定められていますので、明るさの感覚の目安としてください。

屋外での活動時間を増やす

屋外での活動時間を増やす室内で過ごす時間が長いと、近い距離にピントを合わせる機会が多くなります。また、日中の屋外と比べると明るさも不足しがちです。現在室内で過ごす時間が長いという方は、外遊びや屋外スポーツ、あるいは散策などでも構いませんが、屋外での活動時間を増やすとよいでしょう。また、太陽光に含まれる「バイオレットライト」を浴びることで、近視の抑制効果が期待できると言われています。

近視のよくある質問

眼鏡をかけたり外したりするのは良くないとききました。本当でしょうか?

軽度の近視の場合は、遠くを見るときだけ眼鏡をかけ、近くを見るときに外すという使い方でも構いません。一方で強度の近視の場合には、常に眼鏡をかけていた方が、目の負担は軽くなると言えます。見える・見えにくいという基準で眼鏡をかけ外ししても、それが原因となって近視が進行するこということは基本的にありません。

眼鏡とコンタクト、どちらにしようか迷っています。

扱いやすさ、衛生面から、小学生以下のお子様の場合には基本的に眼鏡がおすすめです。ただし、左右の度数の差が大きい、角膜乱視が強いといったケースでは、コンタクトレンズをおすすめすることがあります。中学生以上の場合には、目の状態以外にも、スポーツをするのかしないのか、コンタクトレンズを正しく装用できるか、そしてご本人様の好みなどを医師と相談し、選択するとよいでしょう。

親が近視の場合、その子供も近視になるのでしょうか?

近視には、遺伝性があります。親御様が近視の場合、そのお子様も近視になる可能性が高いと言えます。ただ、必ずそうなるものではありません。生後の環境要因も大きく影響するため、ご家庭では勉強するときや本を読むとき、スマートフォンやタブレット、パソコンを視聴するときの明るさや距離などに注意し、できる限り近視のリスクを取り除いてあげましょう。もちろん、定期的に眼科で検査を受け、必要に応じて眼鏡やコンタクトを装用することも大切です。

近視は、何歳くらいまで進行するのでしょうか?

身体の成長とともに眼軸長も長くなるため、20代後半くらいまでは進行します。つまり、少なくともそれくらいの年齢までは定期的に検査を受け、近視の進行や眼鏡・コンタクトレンズの度が合っているかをチェックしてもらう必要があります。ただし、強度近視の場合は、それ以降の年齢であっても近視が進むことがあります。

子供の視力が1.0から0.8に下がりました。近視でしょうか?仮性近視でしょうか?

どちらの可能性も考えられます。近視の程度が軽いものが仮性近視というわけではないのでご注意ください。区別するためには、眼科での検査が必要です。一度、当院にご相談ください。

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